どこでも猫街ナーゴ
今週のお題「好きな街」
すごーく昔に皮膚科の病院に行ったとき、呼ばれるまでの時間に私は一冊の本を見つけた。
それが、「どこでも猫街ナーゴ」だった(題名の記憶はとてもあやふやなのであしからず)。
それは、ナーゴと言うとある街(多分ヨーロッパ)に住むたくさんの猫たちとその性格や諸々、そして人間との関わりについて、猫と喋ることができるという作者が絵とともに書いた本だった。
そもそもイラストが水彩っぽくて気に入ったのだが、当時小学校低学年だった私にとって魅力的なたくさんの猫たちが住む(多分だけど)ヨーロッパの街は、とてもファンタジックで、飛び込みたくなる素敵な世界だった。
小学校高学年くらいになってからその本をまた思い出して、図書館で探して借りた覚えもある。
そしてもう少し大きくなった頃、私は猫たちに会ってみたくて、その街に行ってみたくて、インターネットで調べた。
すると、驚きの事実がわかった。
「ナーゴ」は作者が猫の鳴き声からつけた名前で、本当のその街の名前ではなかった。
どうやら本を出すとき、その舞台となる街の市長さん(だった気がする)に、実名を出さないで欲しいと言われたそうだ。
これからも猫たちがのんびり過ごせるように。
私はとても落胆した。
だって、猫たちに会いたかったのだ。肉球のところに傷がある猫や、毛並みのいい猫、よくおしゃべりしてくれる猫。
私が彼らだと分からなくても、私が彼らの言葉をわからなくても、その街に行きたかった。
わたしは今でも、ときどきナーゴに想いを馳せる。